パーキンソン病は、ドーパミンを作る中脳黒質細胞が死滅し、線条体にドーパミンを十分に送れなくなってしまいます。線条体にはアセチルコリンもあり、この両者の神経細胞が線条体でバランス良く働き、筋肉に運動の指令を出しています。
パーキンソン病になると、線条体がうまく働かなくなり体の動きに異常が現れる進行性の変性疾患です。
《4大主症状》
四肢の震え《安静時震戦》
こわばり《筋個縮》
小股・前屈み歩行《姿勢反射異》
緩慢な動作《寡動》
《その他の症状》
痴呆やうつ、便秘・発汗障害・起立性低血圧などの自律神経障害といった症状も見られる。
《有病率》
人口10万人に150人程度とされているが、高齢者に多く70歳以上では1000人に7人と1%に近い。急速な高齢化にともない患者数は増加している。
《責任病巣》
中脳黒質緻密層と青班核に存在するドーパミン(DA)細胞の変性・脱落であり、これらの領域の残存細胞の一部には、Lewy小体と呼ばれる異種たんぱく質の神経細胞封入体が認められるという特徴がある。
《薬物療法が主体》
・L-dopa 不足しているドーパミンを補充する。
(著効することが知られているが、使用するにつれ効果が減少するWearing-offや付随運動の出現などの副作用がある)
・ドーパミン受容体アゴニスト 線条体のドーパミン受容体を刺激する。
(吐き気、嘔吐、食欲不振、幻覚、妄想、興奮などの副作用がある)
・中枢性抗コリン薬 過剰になったアセチルコリンの働きをおさえる。
(緑内障には禁忌。食欲不振、腹部不快感、幻覚、妄想、興奮などの副作用がある)
・ドロキシドーパ 脳内で少なくなったノルアドレナリンを補充する。
(すくみ足、起立性低血圧に効果。食欲不振、幻覚などの副作用がある)
《脳外科的治療》
高周波熱凝固法・脳深部刺激療法
《再生医療》
中絶胎児脳の移植・神経幹細胞を用いたドーパミン細胞の移植。いずれも、対症療法的傾向が大きく、パーキンソン病の進行を阻止する薬物は無いに等しい。また、遺伝的要因や環境要因(農薬への長期暴露など)明らかになりつつある一方で、発症を予防する方法がない。
改善対策のヒント
脳の活性化(エネルギー代謝と物質代謝)
1.エネルギー
2.細胞構築
3.情報伝達物質
4.補腎薬
ミトコンドリアの機構を活性化させ、脳内ATP産生効率(エネルギー生産効率)を高め、脳内黒質ドーパミンを保護する
ユビキチンプロテアソームシステム(細胞内蛋白分解機構)の機能を増強させることによって浮遊タンパク質の除去を促進し、脳内黒質ドーパミン細胞の死滅を抑制し、抗パーキンソン病効果を発揮させる。神経栄養因子を誘導することによって、農薬による毒性から脳内黒質ドーパミン細胞を保護する。
疲労は「身体を休めなさい!」というサイン。このサインが出ているにもかかわらず、休まずもしくは休むことができずに、仕事や家事、育児などに追われ、無理をした結果、疲労感が増し、それがなかなか解消されずに悩んでいる人が増えています。
国が行なった調査によると、強い疲労を感じ、かつそれが6ヶ月以上にもわたって続く人は、国民の約4割にものぼるとか…。そして近頃は、身体を動かすことができないほどの強い疲労感に苦しめられ、身体を休めてもその疲労感から脱することができず、他にもさまざまな症状を呈してくるケースが目立ってきました。このような状態は「慢性疲労症候群(CFS:Chronic Fatigue Syndrome)」と呼ばれており、最近では、専門外来を開設する医療機関も登場しています。
【症状】
●身体症状
強い疲労感の他、微熱や頭痛、のどの痛み、リンパ節の腫れ、筋肉痛、関節痛など
●精神症状
思考力・集中力の低下、不眠、気分の落ち込みなど
このようにさまざまな症状が現れているにもかかわらず、一般的な検査では異常は見られず、原因となる疾患もとくに見られないのが特徴です。
【発症のメカニズム】
人間の身体は、動作や全身の感覚、呼吸、体温などを調節する「神経系」(脳や脊髄、末梢神経など)、ホルモンの働きによって体内のバランスを調節する「内分泌系」、ウィルスや細菌などの侵入を妨げる「免疫系」の3つの系が互いに作用し合うことによってバランスが保たれ、1つの系が崩れると、連鎖的に他の系も崩れてしまいます。
例えば、過剰な精神的ストレスを受け続けることによって、神経系の自律神経のバランスが乱れると、連鎖的に内分泌系や免疫系のバランスも崩れてしまいます。そして、その影響が脳におよび、脳の機能に異常が生じてしまうと、強い疲労感やさまざまな不定愁訴が引き起こされると考えられています。
また、慢性疲労症候群の人の体内では、免疫力の指標の一つNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性が、健康な人よりもかなり低下していることが分かっています。つまり、慢性疲労症候群の場合は、免疫力が低下してくるわけです。
こうして免疫力の低い状態が続くと、過去に感染し体内に残されていたウィルスが目を覚まして活動を再開させてしまい、そのウィルスを抑え込むために放出された免疫物質(インターフェロンなど)によって、微熱や筋肉痛、関節痛、疲労感などの症状が現れてくるといったことも考えられています。
慢性疲労症候群は、何から何まで徹底的にこなさなければ気が済まない完ぺき主義者に起こりやすいとされています。一般的な検査では異常が見つからないため、周りの理解を得られることができず、単なるサボリと誤解されて余計に苦しんでいることも少なくはないと思います。