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金の何倍もの値段が付く生薬がゴオウ(牛黄)です。ゴオウはひと言でいってしまえば、牛の胆嚢にできた、胆石(結石)のこと。しかし、この胆石が発見できるのは牛1000頭に1頭ともいわれ、その希小性と多くの人の健康を支えるすばらしい薬効とが相まって、ゴオウを「高貴薬の中でもひときわ価値のある特別な存在」たらしめています。
形状は直径約1-4cmの球状または塊状。色は赤みがかった黄褐色で、切断面には木の年輪のような紋様が見られ、口に含むと心地よい苦みの中にわずかに甘みが感じられます。値段が高いため、古来ニセ物も多く、特に粉末にしてしまうと区別が難しくなるので、「日本薬局方」では粉末にしたものは適合品とは認めていません。
ゴオウはかなり古くから効き目のあらたかな薬として珍重されてきました。
最も古い記述が見られるのは5世紀以前に編まれた“漢方のルーツ”ともいえる薬物書『神農本草経』です。365種類もの薬物を収載したこの書の中でゴオウは「上薬」に分類され、「命を養う薬」として、毒がなく、量を多くのんだり長期にわたって服用しても害がない薬とされています。
ゴオウがいかに人々にありがたがられているかを示すエピソードのひとつに護符の話があります。護符とは「牛黄宝印」とか「牛玉」とか書かれたお札。
無病息災のお守りの一種ですが、この護符の文字はゴオウを入れた墨によって墨痕鮮やかに記されています。
墨に溶け込んでいるだけでも人間を災厄から守ると信じられているゴオウ。昔も今も最高ランクの効き目を持つ生薬として重用されています。
ゴオウの薬効としては『神農本草経』に「驚癇寒熱、熱性狂痙」という記述があります。現代の言葉に直すと、驚いて卒倒した者や高熱で痙攣を起こした者、精神異常をきたした者に効くという意味です。
また、時代が下って漢の時代の漢方書『名医別録』には、「小児の百病、諸癇熱で口の開かぬ者、大人の狂癲を療ず。」とあり、つづけて「久しく服すれば身を軽くし、天年を増し、人をして忘れざらしめる。」と記されています。これはゴオウが「子どものあらゆる病気、口も開けないほどの高熱、大人の精神錯乱など幅広い症状」に用いることのできるお薬で、しかも長期に渡って服用すると「寿命を延ばし、物忘れしなくなる」働きも期待できることを示しているものです。ゴオウはまさに赤ちゃんからお年寄りまで年齢を問わず効果をあらわす貴重なお薬といえます。
現代の中国では、ゴオウを芳香開竅(かいきょう)薬というカテゴリーに分類しています。よい香りを持ち、心に入って邪を除き、意識回復に働く薬という意味です。
主な効能としては、開竅(かいきょう)かっ痰、清熱解毒が挙げられ、高熱や熱病による意識障害、炎症や痙攣に効果があるとされています。とくに、脳卒中や脳梗塞などの脳血管障害による意識障害に用いられるケースが多く、これはゴオウの抹消の赤血球数を増加させる働きや、抗酸化作用によるものと考えられています。
生薬は、構成成分が複雑なため、作用を簡単には説明できないといわれています。なかでもゴオウは価格も高価なことから、研究が進みづらかった生薬のひとつです。しかし、薬効に対する研究は徐々に積み重ねられており、上記以外のいくつもの作用が発見されて、滋養強壮薬や強心薬、小児用薬、感冒薬、胃腸薬などに広く応用されています。
東洋医学では「腎」を単に腎臓とは見なさず、内分泌系、生殖器系、免疫系などを含めた生命の源と考え、精力とも一体のものとしてとらえます。心身両面の”バイタリティ”と考えると近いといえます。人間の一生とは、この「腎」の盛衰に他なりません。気力・筋力・性的能力などは、30歳前後のピークに向かって上り詰め、後は徐々に衰えていくのです。加齢とともに訪れる「腎」の衰えはいかんともしがたいものです。しかし「腎」を補えれば、この曲線をなだらかにすることは十分に可能です。その「補腎」の働きを持つお薬の代表格がロクジョウ(鹿茸)です。
5月5日の端午の節句には「菖蒲湯」に入る習慣がありますが、そもそもこの日は「薬の日」でもあり、その起源は奈良時代まで遡ります。
当時「薬猟」という行事があって、天皇や貴族など身分の高い人々は一団となって薬狩りに出かけました。その期日が例年5月5日であり、そこで採られた「薬」というのが”生命力”みなぎる鹿の幼角、すなわち鹿茸だったのです。
日本でも「薬」といえばロクジョウを指していたように、中国でも薬屋といえばニンジンとロクジョウの品揃えが必須でした。ですから看板も「薬局」とか「薬店」とは書かず、単に「人参鹿茸荘」と掲げていた店が多かったといいます。現在でも香港や台湾では「人参鹿茸荘」と記した漢方薬店を多く見ることができます。
李時珍という生薬学者が著した「本草綱目」の中でロクジョウは「精を生じ、髄を補い、血を養い、陽を益し、筋を強くし、骨を健やかにし、一切の虚損、耳聾、目暗、眩暈、虚痢を治す。」と記されています。
これは「生命力を増し、骨髄や血の元となり、元気をつけ、筋肉を強くし、骨を堅く丈夫にし、体力の消耗によるあらゆる病、難聴、目のくらみ、めまい、下痢や腸の疾病を治す。」という意味です。
つまり、ロクジョウこそは、両親から授かり、持って生まれてきた”生命力”をフルに発揮させるための生薬。
腎の中にあり、人生に”バイタリティ”をもたらす「命門の火」を長く燃やしつづける燃料ともいうべきお薬なのです。
戦後間もない頃の日本人の平均寿命は約50歳。ところがいまでは約80歳にも達して、わずか数十年の間に日本は世界に名だたる長寿国になりました。冒頭でライフサイクルと「腎」の盛衰曲線を示しましたが、寿命が急伸した現在では50代や60代で「老年期」に突入してしまうわけにはいきません。「腎」の高揚期を少しでも長く引き延ばし、”元気”に活躍しなくては生きている意味が半減してしまうからです。
生命活動の基本である「腎」が不足すると、全身の疲労倦怠感や冷え、脱毛や目のかすみ、夜間頻尿につながります。また、子どもには発育不良や夜尿症があらわれます。
そうならないように、「腎」を高いレベルで維持することこそ”元気”の秘訣です。天皇をはじめ高貴な人が「薬猟」に出向き、こぞって求めたといわれるロクジョウは、まさに「健康」を叶えるためのお薬といえます。
プラセンタはフランス語で「胎盤」を意味します。弱った臓器に活力を与え、体質をもとから改善して健康体を作る。そして、自然治癒力を増加させて、病気をその根本から治していく。
主成分は、アミノ酸をはじめ、タンパク質、脂質、糖質という三大栄養素と、多種類の酵素、ビタミン、ミネラルなど、人間が生きていく上で欠かせない物質が豊富に、しかもバランスよく含まれています。他にも、γーグロブリン様物質などの、未だ解明されていない物質を多く含み、それらが互いに関連しあい種々の効果を示すと考えられています。
現代医学では、治りにくいアレルギー性疾患をはじめ、血液障害、婦人病、その他の成人病に対して、プラセンタ製剤は抜群に効きます。
プラセンタには、自然治癒力を高めるという、何物にもかえがたい作用に期待ができます。
我々が、健康を維持し増進させるためには、まずプラセンタで自然治癒力を高め、その上に早寝早起き(自然にしたがった生活)、腹八分目の食事(過剰なカロリーをとらない)、ストレスをためないという、丈夫で長生きするための鉄則を守るようにしましょう。
・呼吸作用(肺の役割)
・消化、吸収作用(胃腸の役割)
・代謝作用(肝臓の役割)
・排泄作用(腎臓の役割)
・内分泌作用(脳下垂体や卵巣の役割)
・免疫や抗体を作る作用
・ガン予防や老化を遅くする作用:プラセンタには傷ついた遺伝子を修復する作用があるので、細胞の突然変化、つまりガンを予防し、老化を遅らせる働きに期待ができます。
・自律神経を調整してバランスを保つ。
・基礎代謝を向上させ新陳代謝を活発化に期待ができます。
・免疫力を強化し、抵抗力を高める事に期待ができます。
・抗炎症効果により身体の過剰反応を除去し、防御に期待ができます。
・ホルモンの分泌促進、正常化を促したり、血行促進に期待ができます。
老後や病気の心配、人間関係のイライラ、リストラ不安、ノルマのプレッシャーなど、現代人はつねにストレスに囲まれて生活しています。そんな私たちにとってジャコウ(麝香)は、きわめて重要な意味を持つ生薬です。
東洋医学では、全身に張り巡らされた経絡(気の通り道)に、目に見えないエネルギーである「気」が通じることによって健康が保たれていると考えます。
そして病は、精神的ストレスや運動不足、冷えなどによって、この「気」)が滞ってしまうことから発生すると考えるのです。ジャコウジカの雄のジャコウ嚢または嚢中の分泌物を乾燥したジャコウは、古来、全身の気の巡りを改善し、病を防ぐ高貴薬として用いられてきた生薬です。そのすぐれた効能はストレス社会においてはなくてはならないものといえます。
ジャコウの日本への伝来は奈良時代といわれています。わが国は唐(中国)との通交を深めており、有名な僧・鑑真の来日もこの時期です。医薬にも通じていた鑑真は仏典とともに多くの薬物も日本に伝えました。その中にジャコウもあったと推測されます。
正倉院には当時の薬物がいま尚大切に保存されています。多くは聖武天皇崩御の七七忌に孝謙天皇・光明皇后が東大寺のる舎那仏(奈良の大仏)に献じ、正倉院が保管したものだそうです。
それらを献上した時の献物帳も残っています。「る舎那仏に奉る種々薬」とあることから『種々薬帳』と呼ばれる巻物です。 『種々薬帳』には60の薬名が記されていますが、ジャコウの記載はその冒頭にあり、きわめて重要視されていたことがうかがえます。
ジャコウは、明の時代の生薬学者・李時珍が著した『本草綱目』の中で「意識が混濁したり、朦朧となったものを回復させる」生薬として紹介されています。
さらには、生命活動に必要なエネルギーである気血を全身に巡らせて、生体の恒常性を保っている経路の滞りを開く作用があるため、突然昏倒して意識を失った時、また急に手足が冷たくなって顔面蒼白に陥った時、精神が混濁してわけのわからないことを口走るとき、食物がうまく消化されずに上腹部や下腹部が痛む時などに効果あると、解説されているのです。
これらはまさに、ストレスからくる症状です。仕事のプレッシャーや複雑な人間関係でストレスを感じることの多い現代においてもきわめて有用な生薬といえるでしょう。
ジャコウは別名ムスク(MUSK)と呼ばれ、香料としても使われています。ヨーロッパでは、薬用のみならずアロマテラピーの素材として自律神経の調整にも役立てられているのです。
さて、現代中国においてジャコウは、芳香開きょう薬に分類されています。よい香りを持つ生薬の効用・効果に加えて、気の働きをよくする薬能を兼ね備えた薬と言う意味で、全身の「気」の流れの”滞り”や”詰まり”によって生じるさまざまな病態に応用されています。
日本に伝来してから1300年。ジャコウはずっと他に代わるもののない生薬であり、さまざまな処方に生かされ、とくに「気」の流れをスムーズにしてイライラや不眠、ストレス性の下痢や気つけなどに使われる薬として多くの人々の健康を支えています。
心臓は血液を全身に巡らせる”ポンプ機能”を担っています。スムーズな血液循環があるからこそ、元気でいられるわけです。
ところが、疲労や加齢などにより、このポンプ機能が低下すると血液の巡りが悪くなり健康が損なわれます。
「さあさあお立会い。ご用とお急ぎのない方はゆっくりと聞いておいで」-ご存知、香具師の口上で有名な筑波山や伊吹山のガマの油売りの一節。ガマが流す脂汗(分泌液)には、傷や腫れ物、虫歯の痛みなどに対する薬効があるというものです。センソ(蟾酥)はガマの中でも中国に棲息するシナヒキガエルの腺分泌物を固めて乾燥した生薬です。センソが昔から我が国や中国で実際に消炎鎮痛、局所麻酔などにも使用されていることから、「ガマの油」の薬効は作り話ではありません。(※現在の「ガマの油」にはセンソは入っておりませんので前述のような薬効は期待できません。)
このように外用でも効果のあるセンソですが、内服で使用すると、また違った一面を現します。それが、センソの最大の特長である心臓のポンプ機能を高める「強心作用」です。
明治の初めに中国から伝わってきた薬に「六神丸」があります。
これはセンソやゴオウ、ジャコウなど6種類の生薬を調合してつくった丸薬で、センソの配合により効能のはっきりした薬として人気となり日本全国に広まりました。
また、我が国で古来使われてきたセンソ製剤と融合し、改良され、日本独自のセンソ製剤として多くの製品が発売されてきました。
いずれの処方においてもセンソが主薬のひとつとして配合されていることから、心臓のポンプ機能を高め、呼吸機能を促進して動悸や息切れにすぐれた効果を発揮したことで多くの支持を得たものと思われます。
センソは六神丸などをはじめとした家庭常備薬として古くからどうき、息切れ、めまい、寝汗、疲労などに用いられてきました。同時にセンソを含むガマの油についての研究も19世紀初頭からヨーロッパで進められ、日本においても大正時代から数多くの研究発表がなされています。センソは医療用強心剤として長年にわたって使われている「ジギタリス」と同様の働きで強心作用を現しますが、排泄が速く蓄積性がないことから高い安全性が認められています。
また、最近ではセンソに悪性腫瘍に対する抗腫瘍活性が認められるなど、強心作用以外の働きでも私たちの健康に役立つ生薬としてますます盛んに研究が進められています。
疲労や加齢などから心臓の働きが低下してくると全身に血液が充分に送り込まれなくなり、結果としてさまざまな症状が現れてきます。
どうきや息切れは心臓のポンプ機能の低下を示す注意信号です。また、めまいや立ちくらみといった脳貧血、下肢のむくみなども心臓からのメッセージといえるでしょう。
センソは心臓のポンプ機能を高めることにより全身の血液循環をスムーズにするとともに呼吸機能を促進し、さらに利尿作用によって体内の余分な水分を排泄し、これらの不快な症状を改善します。そして心臓の拍動リズムを司る刺激伝導系に作用したり、自律神経のバランスを整えることにより不整脈にも効果を発揮します。
センソはストレス社会、高齢化社会に生きる私たち一人ひとりに大変価値のある生薬といえます。
社会の高齢化が急ピッチで進む日本では、”頭の健康”の問題がますますクローズアップされています。
頭の健康が損なわれはじめた時にあらわれる特徴的な症状は「物忘れ」で、これには、生理的なものと病的なものの、2種類があります。
生理的な物忘れは「人の名前がなかなか出てこない」「夕べ食べたメニューが思い出せない」などが代表的なケースで、その原因は疲れやストレスと見られています。
一方、病的な物忘れはアルツハイマー型痴呆や脳血管性痴呆に代表され、「家族がわからなくなる」「食事をしたことを忘れてしまう」などがこれに当たります。
”頭の健康”は、高齢者のみならず、社会全体の克服テーマです。
頭を元気にする方法を一緒に考えてみましょう。
人間の脳は100億個の神経細胞でできていて、その神経細胞の誕生や生存、成長に関わっているのが、神経成長因子(NGF)です。脳の働きを活発化するためには、脳神経細胞の保護(NGF産生促進)や血流を改善することが大切です。また、精神安定や疲労回復も効果的です。
脳の働きをよくするポイント
質問 | ほとんどない | 時々ある | 頻繁にある |
---|---|---|---|
同じ話を無意識にくり返す | |||
知っている人の名前が思い出せない | |||
物のしまい場所を忘れる | |||
漢字を忘れる | |||
今しようとしていることを忘れる | |||
器具の説明書を読むのを面倒がる | |||
理由もないのに気がふさぐ | |||
身だしなみに無関心である | |||
外出をおっくうがる | |||
物が見当たらないことを他人のせいにする | |||
配分点 | x0点 | x1点 | x2点 |
小計 | / | 点 | 点 |
合計 | / | 点 |
■評価◎0-8点→ 正常◎9-13点→ 要注意◎14-20点→ 病的(ボケのはじまり?)
考案者:大友英一
社会福祉法人・浴風会病院(東京都杉並区)院長
出典:『毎日ライフ』2004年5月号
カルシウムは骨や歯の素材だけではなく、全身の細胞の活動にも大事なミネラル。丈夫な骨をつくることにも欠かせません。カルシウムが不足するとどうなるか知っていますか?
人の身体は60兆個もの膨大な数の細胞からできています。そのひとつひとつの細胞になくてはならないのが、カルシウムです。生物はもともと海から生まれてきたと考えられています。海水中に豊富にある、カルシウムやナトリウムを利用して、生命を維持し、進化してきました。脊椎動物も、海から淡水に、そして陸上に移り住み進化してきましたが、カルシウムを利用する生命現象は変化していません。血液中のカルシウム濃度を一定に保つ仕組みを、ますます精密なものにしてきたのです。
近年になって注目される
それほど大切なカルシウムでも、ひと昔前まではあまり注目されていませんでした。1959年、東京大学の江橋節郎教授が、当時全くといっていいほど関心のもたれていなかったカルシウムに着目し、カルシウムイオンと筋収縮の関係を証明。それ以来、俄然カルシウムに脚光が浴びせられるようになったのです。また、生活習慣病などの病気の研究が進むにつれ、体内のさまざまな生理作用にカルシウムが関係しているのでは、と考えられるようになりました。カルシウムがどんな働きをし、どんな役目を果たしているのかを専門に研究する学者も増えてきました。こういった人々の努力によって、カルシウムのさまざまな重要な働きが各分野から発表されるようになったのです。いまや生物学の研究において、カルシウムは大きな比重を占めています。
人が歩いたり、走ったりできるのは、脳から出された「動かす」という指令が神経を通って筋肉に伝わり、その筋肉が骨を動かしているからです。これら神経・筋肉・骨のすべてに関係しているのが、それぞれの細胞内に存在するごく微量のカルシウムなのです。もしカルシウムが不足すると、神経が興奮してイライラしたり、筋肉の収縮が関係する心臓の拍動にも影響したりと、異常を起こします。このようにカルシウムは身体にとって大事な働きをしているため、体内では細胞に栄養を送り込む血液中のカルシウム量は常に一定に保たれるようになっています。しかし、カルシウムの摂取不足が続くと、血液中のカルシウムも当然少なくなってきます。そうなると一大事ですから、不足しないように骨にあるカルシウムを溶かして間に合わせようとします。このとき、血液中ではカルシウムが一時骨からどっとあふれ出る現象が起こると考えられています。このように、カルシウム摂取不足の状態なのに血液中ではあふれるという矛盾した現象を、「カルシウムパラドックス」と呼んでいます。この必要以上に溶けだしたカルシウムが問題なのです。血液中の余分なカルシウムは、血管を取り巻いている筋肉細胞に入り込んで異常に収縮させ、血圧を上げる原因になったりします。また、コレステロールとくっついて血管の壁などに入り込んで溜まり、粥状の動脈硬化をつくってしまいます。この状態が進行すると、やがて脳卒中や心筋梗塞など、動脈硬化性疾患の原因になるといわれています。
骨にはからだを支えるという重要な役目があります。硬い石のようなものなので、一度つくられると変化しないように思われがちですが、常にカルシウムやタンパク質が入れ替わる新陳代謝を繰り返し、新しい骨がつくられています。しかし、歳をとってくると、骨をつくる力が弱まってきて、骨に蓄えていたカルシウムを溶かし出します。その結果、骨がもろくなり、ちょっとしたことでも折れやすくなってしまいます。このような骨の状態を「骨粗鬆症」といいます。日本人の高齢化が進むにつれ、この骨粗鬆症が徐々に大きな問題となってきました。
女性の宿命
とくに女性は、骨の新陳代謝を活発にする働きがある女性ホルモンの分泌が閉経後に低下することから、男性よりも早く骨がもろくなり、骨粗鬆症になりやすいのです。加えてカルシウムの摂取不足と運動不足が続くと、同じように骨からカルシウムが溶けだし、骨粗鬆症になるのを早めてしまいます。現在、骨粗鬆症を予防する方法として、
・カルシウムを十分とる
・適度な運動を続ける
・日光にあたる
・栄養のバランスがとれた食事
があげられています。
カルシウムはなかなか摂取しにくいうえに、体内への吸収効率もあまりよくありません(平均で20~30%)。大人の1日の所要量は600mgです。しかし、この量をカルシウムが多いといわれるキャベツなら1個、めざしなら26尾もとらなくてはいけません。そこで、上手なとり方の1つとして、カルシウム剤を利用することをおすすめします。これによって手軽に十分な量のカルシウムをとることができます。
ビタミンDがポイント
また、とったカルシウムを効率よく吸収させることも大切です。その一番の役割を果たすのが、ビタミンDです。ビタミンDは“カルシフェロール(カルシウムの運び屋)”ともいわれ、カルシウムの吸収になくてはならないものです。ビタミンDを多く含んだ食品として、シイタケやレバー、バターなどがありますが、食品以外にもとる方法があります。それは、日光浴です。日光に当たると、皮膚の表面でビタミンDがつくられます。その他、カルシウムの吸収をよくしたり、効率よく働かせるミネラルとして、マグネシウムがあります。